『第8の習慣を語る』

『第8の習慣』を語る 第2回:ボイス






フランクリン・コヴィー・ジャパン 代表取締役社長
ウィリアム(ビル)・A・マッキンタイヤー

フランクリン・コヴィー・ジャパン 代表取締役副社長
竹村富士徳

竹村:現代社会が、知識・情報の時代だというのはよく分かるのですが、これから来る意義の時代というのは具体的にいうとどのような時代だと解釈すればいいのでしょうか。

ビル:これは「7つの習慣」でも紹介されていて、「7つの習慣 ファミリー」で詳しく述べられていることなのですが、人生の最終目的へと進むステップとして、「生存」から「安定」、そして「成功」から「意義」と紹介しています。つまり、本能・反応的行動から仕組み作りによる安定の獲得、目標設定・到達による成功、そして自身の使命の発見による意義の明確化とその実現というステップを人生の最終目的に向かって進むということです。

竹村:なるほど。知識・情報の時代を、成功を求めている段階と置き換えるならば、その次にくるものとして、人として、ビジネスパーソンとして、原則にのっとった自らのミッションの実現、それが意義の段階ということになるわけですね。具体的にいうと、どのようなパラダイム、意識ということになるのでしょうか。

ビル: 簡潔に表現するならば、「問題思考」から「ビジョン思考」になるということでしょう。次から次へと起こる問題に対処していく考え方から、将来へ向けての新しい対策、理想の状態を生み出す考え方になるということです。

竹村:「第8の習慣」の中で考えるならば、そのビジョン思考を組織や社会の中で活用し、前時代の50倍の生産性を上げるためには、「ボイスを発見できように人々を奮起させる」ことが必要だということでしょう。信頼関係を築くために自らが模範を示し、共通のビジョン・価値観を確立することで方向性を示し、目標と制度のベクトルを合わせ、情熱と才能を引き出すこと、これが意義の時代におけるパラダイムと行動と考えればいいでしょうか。

ビル: そのとおりだと思います。使命(ミッション)とは、表現を変えれば「責任」と「貢献」です。「成功」だけにとらわれてしまっていては、自己中心的で、所有者意識が抑止力として働き、人生の最終的な目的に到達することはできません。すべての人々は生まれたときに「天賦の才」を持って生まれてきます。その才を活用し、責任と貢献を果たすことは、意義の時代へ向けての私たちの義務であると言えるのではないでしょうか。

竹村: よくわかります。生まれた時の才能を活かすのも潰すのも私たち大人の責任であり、将来に対する貢献です。「第8の習慣」の奥深さがまたひとつ発見できたような気がします。ただし、人はある日突然変わることはできませんし、コヴィー博士が言う、プロセスや習慣、成長の階段を一段一段上っていくことができるように、努力することの大切さを感じています。