『第8の習慣を語る』

『第8の習慣』を語る 第1回:偉大さ






フランクリン・コヴィー・ジャパン 代表取締役社長
ウィリアム(ビル)・A・マッキンタイヤー

フランクリン・コヴィー・ジャパン 代表取締役副社長
竹村富士徳

竹村:『第8の習慣』のサブタイトルは「効果」から「偉大」となっていますが、本書のこのテーマをどう捉えていますか?

ビル:まず「第8の習慣」を語る前に、「7つの習慣」についてもう一度考える必要があると思います。「7つの習慣」は、「効果性を発揮」する人生を歩むためにはどう考え、何をすればいいのかを整理しまとめたものです。言葉を変えれば、「効果性を発揮」した人生を送った人たちの普遍の原則と習慣であるともいえるでしょう。それに対し「第8の習慣」は、現代の社会の中で本当の意味での成功、時代の移り変わりの中で偉大な価値を創造するにはどうすればいいか、という観点からまとめられています。

竹村:その時代の移り変わりというのは、キーポイントですよね。「7つの習慣」がまとめられた1980年代は、まだ産業社会の枠組みが残っていて、いかに「効果性を発揮」するかが時代のニーズでした。しかし本書にもあるように現代の成熟した情報・知識社会の最中です。そしてこの時代の知識労働者はかつて産業社会の、50倍もの生産性をあげなければならない、とコヴィー博士は言っています。しかもその50倍の生産性を実現するものは、ツールやテクノロジーではなく、私たちに内在する解き放たれた才能とスキルだと言っています。

ビル:人間の生まれ持った価値は本来計り知れないというメッセージが、本書では底辺をずっと流れています。その価値を引き出すのも押さえつけてしまうのも、本人であり周囲の人たちであり社会であるということです。本書の最初に紹介される「グラミン銀行」の事例は分かりやすいのではないでしょうか。まさにそれを最初に成し遂げようとされた人物の解き放たれた才能とスキルが、何十倍、何万倍の価値を生み出した好例でしょう。

竹村:本書のテーマである、個人の「偉大」さを発揮した具体例だと?

ビル:そうです。自分にできることはなにかを考え、湧きあがった自分の“ボイス”(内面の声)を表明し、持っているスキルをすべて使い、貧困層や当時の古いパラダイムの銀行に影響を与え続けました。そして誰しも想像しなかった成功を収めました。

竹村:人は誰でもすばらしい才能を持っており、それを“ボイス”という形で発見・表現し、周囲の人へもその発見を手助けすることで、誰も想像できない「偉大」な成果がもたらされる可能性があるということでしょうか。

ビル:それが本書の主たるメッセージです。また新たなブレイクスルーは古い時代のパラダイムでは起きないとも言っています。まず、これまでのパラダイムを捨て、個人個人が自分の秘めた才能を発見し、“内なる炎”を燃やすことが必要です。

竹村:個人の「偉大性を発揮」する第一歩ということですね。